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大阪高等裁判所 平成7年(ラ)569号 決定 1995年9月13日

抗告人 株式会社福徳銀行

代表者代表取締役 大館隆雄

代理人弁護士 河合徹子

同 岡村泰郎

同 濱岡峰也

所有者 砂川可成

主文

原決定主文二項を取り消し、右部分につき本件を大阪地方裁判所岸和田支部に差し戻す。

理由

第一本件執行抗告の趣旨及び理由

別紙執行抗告状(写し)記載のとおり

第二当裁判所の判断

一  一件記録によれば、次の事実が認められる。

<1>抗告人は、平成二年二月七日、債務者兼所有者株式会社サン・テイ(以下「サン・テイ」という。)との間で、サン・テイ所有の別紙物件目録一記載の土地(以下「本件土地」という。)及び右土地上に存した建物(和泉市青葉台<番地略>所在 家屋番号<略>軽量鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺及び軽量鉄骨造スレート葺二階建居宅一階六七・九〇平方メートル 二階二四・九四平方メートル。以下「旧建物」という。)について、共同担保として順位一番、極度額一億四〇〇〇万円、債務者サン・テイ、根抵当権者抗告人とする根抵当権を設定する旨の契約を締結し、同日、その旨の登記を受けた。

<2>旧建物は、昭和四八年一二月ころ建築された建物であった。そして、右融資の目的は中古住宅購入・旧建物のためのリフォーム資金であった。しかして、サン・テイは、旧建物をリフォームして転売する予定であったと思われる。

<3>しかるに、サン・テイは、平成五年一月一〇日ころ、抗告人の承諾がないのに旧建物を取り壊した。

<4>抗告人の担当者は、同月二四日ころ、旧建物が取り壊されたことを知り、サン・テイの代表者である高瀬晴己に対して、旧建物の無断取壊しについて抗議をした。これに対し、高瀬は、本件土地上に建物を新築するときには、その建物も抗告人に担保提供することを約した。

<5>サン・テイは、同年四月二日ころ、本件土地上に別紙物件目録二記載の建物(以下「本件建物」という。)を新築し、同月八日、自己名義で所有権保存登記をなしたうえ、同日、砂川可成に対し、同日付売買を原因として所有権移転登記をなした。

<6>高瀬晴己は、平成五年四月ころ行方不明となり、抗告人としては、以後同人と連絡がとれなくなったので、結局、本件建物について担保設定を受けることができなかった。

<7>砂川可成は、平成六年四月一八日、本件建物について、岡山宗秀に対し、債務者を有限会社芙蓉ロードとし、極度額を三三〇〇万円とする根抵当権設定登記をした。

<8>有限会社芙蓉ロードは、一般土木工事及び建築の設計施行管理の請負、住宅の建築及び販売、不動産の売買又は賃貸及び仲介等を目的として平成三年三月四日に設立登記された会社で、砂川可成はその代表取締役である。

二  以上の事実関係のもとでは、新建物につき法定地上権が成立することはないと解するのが相当である。

なるほど、民法上土地と建物はそれぞれ独立した不動産であり、建物の敷地である土地につき設定された抵当権によって把握されるのは底地としての価値のみであるのが原則ではあるが、本件では土地と地上建物が共同担保として一括して抵当権の目的とされており、抵当権者としては、土地と建物の全部の価値(建物の価値が低いものとしても、少なくとも更地としての土地の価値を下回らないものと思われる。)を把握する趣旨であったことは明らかであるのに、抵当権設定者の一方的な建物取り壊し行為とその後の建物新築行為により、新築建物につき、抵当権の設定がないのに、法定地上権が成立すると解すると、抵当権者に不測の損害を被らせることになって不当であり、かかる結果は、抵当権設定者と抵当権者間の当初の抵当権設定契約における双方の合理的意思にも反するものであるし、また、かかる場合に抵当権設定者が新築建物につき法定地上権の成立を主張すること自体信義則に反して許されない場合に当るというべきである。そして、抵当権設定者から新築建物を譲り受けた者は、右建物につき法定地上権を主張しえない抵当権設定者の地位を引継ぐものと解される。大審院昭和一三年五月二五日判決(民集一七巻一一〇〇頁)は、本件と事案を異にし、適切でない。

したがって、民法三八九条の法意に照らし、本件建物につき、同条の適用があるものと解するのが相当であるから、抗告人は、民法三八九条に基づき、本件建物について、本件土地との一括競売を申立てることができるものというべきである。

第三よって、本件土地、建物の一括競売の申立てを却下した原決定は失当であるから、原決定主文二項を取り消し、本件建物につき、民法三八九条に基づく本件土地との一括競売をなさせるべく、右取消しにかかる部分を大阪地方裁判所岸和田支部に差し戻すこととして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 山本矩夫 裁判官 林泰民 裁判官 笹村將文)

別紙 執行抗告状

当事者の表示等<省略>

抗告人は下記の原決定に対し、執行抗告をする。

原決定

事件番号等<省略>

主文

一 債権者の申立てにより、別紙担保権・被担保債権・請求目録記載の請求債権の弁済に充てるため、同目録記載の抵当権に基づき、別紙物件目録一記載の不動産について、担保権の実行としての競売手続を開始し、債権者のためにこれを差し押える。

二 債権者のその余の申立てを却下する。

執行抗告の趣旨

1 原決定主文二項の部分を取り消す。

2 別紙物件目録二記載の建物について、民法三八九条に基づき競売手続を開始する。

との裁判を求める。

執行抗告の理由

原決定は、別紙物件目録二記載の建物(以下、本件建物という)には法定地上権が成立すると認められ、建物のために法定地上権が成立するときには、民法三八九条の一括競売をすることはできないとして、抗告人の一括競売申立は認められないとする。

しかしながら、原決定には法律解釈の誤りがあるので、取り消されるべきである。そして本件建物について一括競売の手続きが開始されるべきである。

第一 本件事案について

本件事案の概略は、次のとおりである。

<1> 抗告人は、平成二年二月七日、債務者に対し、金一億四〇〇〇万円を融資し、別紙物件目録一記載の土地(以下、本件土地という)及び右土地上の建物(和泉市青葉台三二番地一四所在、家屋番号三二番一四、軽量鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺及び軽量鉄骨造スレート葺二階建居宅、一階六七・九〇平方メートル、二階二四・九四平方メートル。以下、旧建物という)に、共同担保として一番順位の根抵当権を取得し、その旨の登記(大阪法務局泉出張所平成二年二月七日受付第二八九九号根抵当権設定登記)を受けた。

<2> 右融資の目的は中古住宅購入・旧建物のためのリフォーム資金であった。

<3> ところが、その後、債務者は、平成五年一月一〇日ころ、旧建物を取り壊し、同地上に別紙物件目録二記載の建物(以下、本件建物という)を同年四月二日ころ新築し、これを四月八日に自己の名義で所有権保存登記し、同日付で砂川可成に対し所有権移転の登記をした。

<4> 抗告人の担当者は平成五年一月に旧建物が取り壊されているのを知り、債務者の代表者である高瀬晴己に無断取り壊しについて抗議したところ、右代表者は本件建物を担保として提供すると述べた。しかし、その後、右代表者は行方不明になり連絡はとだえ、本件建物について抗告人は担保設定を受けることはできなかった。

<5> 本件土地の価格は抗告人の融資残元金である金一億四〇〇〇万円をはるかに下回るものである。

第二 一括競売の可否について

1 原決定は、本件建物について旧建物を基準とする法定地上権が成立し、建物のために法定地上権が成立するときには、民法三八九条の一括競売をすることはできないとして、抗告人の一括競売申立は認められないと判断した。しかしながら、右判断は誤っている。

2 (民法三八九条の趣旨)

民法三八九条は、抵当権設定の後、その設定者が抵当地に建物を築造したときは抵当権者は土地とともに建物を競売することができると規定する。

本件事案において、債務者は第一、<3>記載のとおり、旧建物を取り壊した後本件建物を築造したものであるから、これにより抗告人は本件建物を土地とともに競売できる地位を得た。その後、本件建物を取得した砂川可成は、建物の競売を甘受すべき債務者の従前の地位を承継したものであるから、抗告人は本件建物の所有権が同人に移ったのちも一括競売を申立ることができる。

この場合、建物について法定地上権の成立の余地はないことは名古屋高裁昭和六〇年一月二四日決定・判例時報一一五五号二七一頁(資料一)が明らかにしているところである。右決定の事案は、共同担保に供された土地・建物のうち建物が取り壊され、その後、第三者が築造した新建物について一括競売が申立てられたというものであるが、右決定は次のように述べてこの申立を認容した。

民法三八九条の趣旨は、同条を法定地上権に関する民法三八八条と対比して考察すると、抵当権設定前に築造された抵当土地の上の建物については、競売に際して法定地上権の成立を認め、一方、抵当権設定後に築造された抵当土地の上の建物については、法定地上権の成立を認めないかわりに、抵当権者に抵当土地とその地上建物との一括競売権を賦与したものである。

なお、法定地上権が成立しない建物に一括競売を許すのは、その経済的価値の存続を図ることが可能になる上、抵当土地のみの場合よりも競売が容易になり、しかもその実効をあげうることになって、抵当権の利益を守り、一方、建物所有者に対しても、買受人に収去義務を負うよりは、売却代金のうちから建物の代金を収受させることによって、その利益に資することにもなると考えられる。

3 したがって、本件において本件建物に法定地上権成立の余地はなく、一括競売が認められるべきである。

第三 法定地上権の成否について

1 仮に本件建物について法定地上権の検討の余地があるとしても、その成立は認められないから、やはり一括競売が認められるべきである。

2 (同種事案における大阪高裁の判断)

本件と同種の事案について、大阪高等裁判所は法定地上権の成立を認めず、一括競売を認めている(大阪高裁平成五年六月一一日決定・判例時報一四六五号九一頁)(資料二)。

すなわち、この決定は、土地及び旧建物に根抵当権を設定して融資を受けた債務者がその後、旧建物を取り壊し、さらに右地上に新建物を建築し、この建物が債務者名義で所有権保存登記がなされたうえ、第三者に売り渡され所有権移転登記がなされたという事案について、右新建物について法定地上権は成立することはないと判断し、民法三八九条による一括競売を認容したのである。

この大阪高裁決定については土地を更地として評価していたとの事情が考慮されたものと指摘しているものがあるが(たとえば前記判例時報一四六五号の解説)、この点を検討すると本件事例にも同様の事情があることが明らかである。

すなわち、本件事案における旧建物は、昭和四八年一二月に新築されたものであり(旧建物登記簿謄本-資料九)、抗告人の担保権設定時にはすでに建築後約一七年を経過した老朽建物であったのであり、この状況からすれば担保権設定時の土地・建物の評価では建物の価値は著しく低廉で零に等しく、実質上、土地のみの評価をしていたことになる。本件担保にかかる融資の目的がリフォーム資金であったことにも建物の経済的価値が著しく低廉であることが表れている。

したがってこの点について大阪高裁決定の事案は本件事例と共通しているのであって差異は認められない。

3 (いわゆる全体価値考慮説)

再築建物と法定地上権の成否については、東京地裁平成四年六月八日執行処分(判例タイムズ七八五号一九八頁)(資料三)を契機に、再築建物について原則として法定地上権を認めない、いわゆる全体価値考慮説の考え方がとられるようになった。そして、前記大阪高裁決定の他にも、全体価値考慮説の立場は現在、広く肯定されている(たとえば、東京地裁平成五年一月一八日決定・判例時報一四五一号一三三頁)(資料四)。

現在ではさらに、不動産執行の場のみならずそれ以外の紛争類型の前提問題としても全体価値考慮説の見解が裁判所において認められるようになってきている(たとえば、詐害行為取消請求についての東京地裁平成六年七月二五日金融法務事情一四一八号六七頁)(資料五)。

4 (全体価値考慮説の立場)

全体価値考慮説は、同一所有者に属する土地・建物について共同抵当権の設定を受けた債権者は、土地の交換価値の全体を把握していることを重視する。すなわち、土地の交換価値のうち、法定地上権に相当する部分については建物抵当権を実行して法定地上権付建物の売却代金から回収し、また、法定地上権の負担付土地価額は土地抵当権実行により回収し、債権者としてはいずれにしても、土地の交換価値の全体を把握していると理解されるのである。

建物が滅失し再築された場合に法定地上権の成立を肯定すると、土地の交換価値のうち法定地上権に相当する担保価値については、建物の滅失により建物抵当権を実行して実現することができなくなり不合理が生じるから、全体価値考慮説はこのような場合には、法定地上権の成立を否定する。

ただし例外的に、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定登記を受けたとき、または土地の抵当権者がそのような抵当権の設定を放棄したときには、新建物についての法定地上権の成立を認めるのである。

この見解は土地、建物が別個の不動産とされている現行法の下において共同担保を設定する当事者の意思を正確に理解したものであって、正当なものである。まさに本件においても全体価値考慮説のいうところが当事者の意思であったわけであり、本件事案では法定地上権は成立しないものと解すべきである。

競売手続の実際としても、本件事案において土地のみの競売を開始しても、このような競売物件(土地)を競落しようとする者は事実上いないから、抗告人として担保権実行の意味は達成できない。

建物が再築され、新建物に担保権の設定がなされない場合に法定地上権の成立を認めるとすれば、担保権者の権利行使には大きな障害となる。これを防ぐには再築というようなことがないよう担保不動産を常時、監視しなければならないが、そのようなことは事実上、不可能である。

5 (原決定の全体価値考慮説否定の理由)

しかるに、原決定は次のように述べて全体価値考慮説を否定した。

<1> 民法は土地と建物を独立した不動産として扱っていること。

<2> 土地及び建物に共同抵当権の設定を受けた抵当権者の実際的意思が土地と建物を一体のものとして担保価値を評価しているとしても、法的にそうみなければならないとする論理的必然性はないこと。

<3> 土地及び建物に共同担保の設定を受けた抵当権者であっても、土地の抵当権によって把握していたのは底地としての価値のみであること。

<4> 共同抵当権者が新築建物に抵当権を設定した場合に法定地上権が成立しないとするのは、当事者の合理的意思に反し、相当ではないこと。

<5> 新築建物に法定地上権が成立すると解する考えのほうが共同抵当権者が新築建物に抵当権を設定した場合に法定地上権が成立することの説明が容易であること。

<6> 大判昭和一三年五月二五日(民集一七巻一一〇〇頁)が旧建物を基準とする法定地上権が成立すると判示していること。

原決定は、これらの理由によりいわゆる個別価値考慮説によるべきであるとするが、前記のとおり、これは再築建物と法定地上権についての現在の考え方の主流に反するものであり、またその理由はいずれも的はずれのもので、法定地上権の成立を認める実質的根拠とはなっていない。

まず<1>は現行法の原則を述べたにすぎず、この原則は全体価値考慮説も前提としているものである。むしろ全体価値考慮説はここから生じる不都合を解釈論により解決しようとするのである。いずれにせよ、全体価値考慮説、個別価値考慮説のいずれをとるべきかという回答は、この原則の指摘だけからは引き出せない。

<3>は<1>から形式的に引き出されるが、この前提は共同担保権を設定する際の当事者の意思に沿っていない。そこで当事者の意思(<2>参照)を法的枠組みに反映させようとするのが全体価値考慮説の意図である。これに対して個別価値考慮説は、あくまでこれまでの法的枠組み(<6>の判例の見解が含まれる)をなお維持しようとするのである。

原決定の<4><5>の指摘は趣旨が不明確であるが、このような論理構成の容易さというべき問題は、程度の問題であって決定的なものではない。この点からどちらの説を取るべきかを決定する理由とはならないというべきである。

6 (本件事案の権利濫用性)

もっとも個別価値考慮説では本件事案のような場合に法定地上権の成立が否定されることがないかというと、そうは解されていない。この説をとっても権利濫用等の法理により全体価値考慮説同様の処理をなしうるというのであり、原決定も一般論として、権利濫用、信義則違反の場合には法定地上権の成立が否定されると述べている。問題は、どのような事情をもって権利濫用とされるかという判断基準である。

本件事案のように、建物の取り壊しに担保権者の承諾がない場合には、そもそも担保権の侵害にあたり法定地上権の利益は放棄されたものとして、原則としてその主張をすることは権利の濫用となり許されないと解されている(廣田民生「再築建物のための法定地上権の成否」金融法務事情一四一一号一二頁-資料六、富川照雄「民事執行における保全処分の運用」判例タイムズ八〇九号一〇頁-資料七)。

実際に、共同担保権の設定された建物が再築された場合、当該建物について法定地上権の成立するのは、当該抵当権設定当事者間ないし新規の土地賃貸借当事者間において正常な法律関係が存続し、正当な利用関係が継続されていることが前提であり、そのような事情にない場合に、法定地上権の成立を認めるのは、一方的に抵当権者に著しい損害を与えるものであって、取引上の信義則にも反するばかりでなく、また、公正な競売制度の維持にも悖る結果となると判示する決定がある(高松高裁平成五年一〇月一五日決定・判例時報一四八五号三五頁)(資料八)。

これらの基準に照らせば、本件事案で法定地上権の主張をすることは権利濫用にあたる。

さらに本件事案では、担保権設定者による建物の取り壊しに担保権者の承諾はなかったこと以外にも、権利濫用・執行妨害的な事情が多々認められる。

すなわち、担保権がついている土地上の建物を買い受ける者は常識的には考えられないところ新建物が債務者名義で所有権保存されると同日、砂川可成が「売買」により建物の所有権を取得していること(資料一〇-新建物の不動産登記簿謄本)、さらに新建物は債権者岡山宗秀に対し債務者有限会社芙蓉ロードのために根抵当権設定登記がなされておりその極度額は金三三〇〇万円と高額なこと(同)、しかるに有限会社芙蓉ロードの所在地にはワンルームマンションがあるにすぎず看板もあがっておらず、同社が営業しているとの実態は認められないこと(原審資料二-抗告人担当者の陳述書)などの事情である。

これらの事情が存在するにもかかわらず、原決定は、法定地上権の成立、主張を妨げる事情を「認めるに足らない」と述べているのである。このような原決定の「権利濫用論」は、権利濫用が認定されるためにどのような事情が必要なのか著しく不明確でかつ不安定である。しかも、そのような不明確性の高度のリスクは競売申立者側に負わせられるのであり、建物を担保権者の承諾なく取り壊してしまった担保権侵害者側はそのようなリスクを負うことがない。このような制度の運用は担保権侵害行為を誘発するともいいうるものであり、著しく正義に反しているというしかない。

7 以上のとおり、現在の判例のもとでは本件において法定地上権の成立は認められず、これを認めた原決定は違法なものである。

したがって、本件では民法三八九条により一括競売を認めるべきである。

別紙 担保権・被担保債権・請求債権目録、物件目録<省略>

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